おまけ二





「せ、セレナイトさん! こ、こんなこと!」
「大丈夫。落ち着いて……、私に任せてくれれば良い」

焦りを含むアキトの声を、若く艶のある声で包み込むセレナイト。
身に纏っているものは白い靴下のみ。
ベッドで腰を抜かしているアキトにゆっくりと近づいていく。

「こういうことは初めて?」

顔を真っ赤にし、自分から視線を外すアキトの頬に手を添える。
少しでも正面を向けば彼女の透き通るようなキメの細かい裸体が写る。
まだ少女といって良い年代だが、その容姿の美しさはナデシコ一と言って過言は無い。

月光の妖精、月光の戦乙女、のちにそう呼ばれることになる超絶美少女なのだ。
ちなみに一度対峙した相手からは銀の殺戮天使と呼ばれることもある。

「その様子だと初めてのようだな。嬉しいよ、私がアキトの初めての相手になれて」
「せ、セレナイト……、さん。」

客観的に言えば、明らかにセレナイトの方が年下に見え、幼い。
だが今の状況は年上のお姉さんが純朴な青年を誘惑しているのと変わらなかった。
その事実のアンバランスさ、矛盾がアキトを不思議な興奮へと誘う。

「アキトは私のことを……、少しでも好きと思っていてくれて……いる?」

倒れこんでいるアキトのひざの上にその柔らかなヒップを乗せながら聞く。
ここまで大胆なことをしているのにもかかわらず、それを聞いたセレナイトの表情に初心な恐れと期待が覗く。

「は、はい、もちろんです! はじめて会った時からずっと!」
「そうか。私もアキトが好きだ。部下としてではなく男としてアキトを愛してる」

セレナイトは小さくはにかむと、アキトを抱きしめ、彼の唇に自らの甘い唇を押し付けた。

「ん、んぅ!?」

期待していたとはいえ、その行為をついに受けてしまったアキトは、余りの快感に頭をくらくらさせる。
セレナイトの感触が唇に広がる。

素肌で押し倒されているために彼女の全身の感触すら全て感じることが出来るのだ。

「ん……、んくぅ!」

うっとりとアキトにキスをしていたセレナイト。
感極まったアキトが彼女の背に手を回した。
それだけで敏感に反応してしまうらしく、熱い吐息まじりの声を出す。

「あ、くぅ! アキト……、その、背中は……よ、弱いから」

抱きしめた背中を撫でるだけで、キスを止め何かに耐えるような声を漏らすセレナイト。
むしろ彼女の弱くない部分を探すほうが難しい。

「ぁ! そ、そんなに……、ぅぁ、……さわら、ないで、ぇ……」

さっきまでの余裕を失い、あっさりと主導権を奪われる。
その事実が恥ずかしかったのか、弱点を早々に発見され嬲られるのが恥ずかしいのか、
とにかく羞恥と快感に耐えるような上目遣いの表情で彼女は懇願した。

「セレナイトさん!」

師匠であり想い人であるセレナイトのそんな姿を見て冷静になれるほど年を重ねていない。
たとえ重ねた人物だって、現役を退いたお爺さんだって、この姿を見れば現役復活間違いない。
それほどの魅力だ。
アキトは若さを滾らせるような情熱的な抱擁とキスを、セレナイトに浴びせた。



■   ■   ■



「セレナイトさん、もう準備は良いですか?」
「……う、うん」

何度も何度もイかされ、完全に主導権をとられたセレナイトは、
歳相応の少女のような、か弱さで横たわっていた。

「わ、私、その……初めてだから……、優しく、優しくして」

すっかり大人の男にリードされる生娘のような態度に様変わりしている。
目を逸らしキスの洗礼を受けた柔らかな胸を上下させ、息づかせながら呟く。

「わかってます……。優しくしますよ」

そんな態度にすっかり年上気取り、お兄さん気取りになったアキトは安心させるように微笑んだ。

「じゃあ、行きますよ?」
「うん。……アキト、愛してる」
「オレもです」

セレナイトの告白に心を満たされながら、アキトは彼女の中に進入を開始した。

「くぅ!」
「ふ、ぁぁぁぁぁぁ」

挿入する。それだけで凄まじい快感に神経が焼ききれるのではないか。
アキトはそう思った。

自分の経験の無さもそれを助長しているのは確かとはいえ、この快感はあまりにも底なしだ。
セレナイトはすでに入れられただけで昇りつめたらしい。
アキトの背中をギュウ!と抱きしめながら何度も痙攣を繰り返す。
その蕩けるような可愛らしい声はアキトの脳神経にさらに快楽を送り込むことになった。

「あ! く! ……オレも! もう出ます!」

わずか一突き、それすらも出来たか分からない内にアキトの意識は真っ白に塗りつぶされ、下腹部に快感が走った。



………………。
…………。
……。



「ふは!? ……も、もしかして」
今までの光景が現実とは思えないようなアキトの部屋。
つい先ほどまでセレナイトとの甘い睦みあいが行われていたベッドで一人飛び起きるアキト。

やけに汗をかき、やけに腰の奥がスッキリし、やけに下着が重苦しい。
というか不快だ。

「くそ……、この歳になってやっちゃったよオレ」

恐る恐る布団の中を覗いたアキトは目の当たりにした現実に歯をかみ締めて、
その世知辛さにホロリと涙を流した。



■   ■   ■



ピピピピ! ピピピピ! ピピピピ!

目を覚ませ! 目を覚ませ! ……と、目覚まし君が鳴る。

「ぅ……、にゅ」

そのお返事にベッドの膨らみが蠢き、謎の声を発する。

ピピピピ! ピピピピ! ピピピピ!

しかしそんな謎の声で許すほど目覚まし君は優しくない。

「ぅ、ぅぅ……にぅぅ!」

小さくモゾモゾしていた膨らみだったが、ついにその音に耐え切れなくなったのか、
ニョキリと腕を出し、目覚ましに止めを刺した。

「……クゥ」

そしてまた静かな寝息が微かに聞こえる。

「アキト、起きなくていいの?」

ベッドの前で立つラピス。
布団の中にいる謎の膨らみの人物、セレナイトに囁きかける。

「ダメ……。起きないと、いけな……ぃ」

まだ夢の中の住人なのか、ラピスの言葉に夢心地な声を返す。

「でも、起きられない。この身体の朝の弱さは、ホントに……、致命的だ……にょ」

起きないといけないのに身体が言うことをきいてくれない。
いつもの凛とした雰囲気はいずこへ。全く年相応以下と言っていいあどけない寝姿。

「……アキト」
「お願いだから、もう少し」

この身体になってからは既に見慣れた行動だが、それでもラピスはこの時間が大好きだった。
あのアキトが自分に甘えてくれるのだ! 嬉しくないわけがない。
だが苦渋の決断でそんな至福の時間を自ら放棄するラピス。
布団を剥いで外気をセレナイトに浴びせる。

「寒い。……布団かけて、ラピス」
「ダメ」

お父さんに甘える幼な子のようなセレナイト。それを珍しく一刀両断するラピス。
初めのころはそれに負けていつまでも寝かせていたが、その後必ずセレナイトが自己嫌悪になり落ち込む。
そして次はどんなに自分が頼んでも絶対に起こしてくれ。と言われるのである。

『寝起きはホント、別人なんだ。あの時間、ラピスの知ってる天河アキトは死んでいる。
だから変な行動をとってもオレの意志だと思わないでくれ……』

覚醒した後にラピスに視線を合わすことすら出来ず、恥ずかしげにそう呟くセレナイト。
分かっていても抗えない、この身体の朝の弱さ。セレナイトにはどうしようも出来なかった。

「起きよう。……アキト」

だからラピスは非常に名残惜しかったが、心を鬼にしてセレナイトを起こしにかかった。




■   ■   ■




「いつもありがとうな、ラピス」
「ううん、私はアキトの役に立ちたいから平気」

毎度の事ながら寝起きの痴態を見せてしまって頬が少し赤いセレナイト。
ラピスと会った頃など黒いマントに黒いバイザー。黒の王子と呼ばれるバリバリのダークヒーローだったのだ。
それが何の因果か超絶美少女になり、朝一番に「うにゅ」とか「にょ」とか言い出す始末。
そりゃあ頬の一つも染まるというものである。

「今日はこれからどうするの?」

本日のセレナイトの予定を聞くラピス。

「この後はアキトとエステの訓練だ。ユリカと軍の話し合いは前と同じで物別れだったから、
地球圏脱出の際にデルフィニウムが来るだろう。そろそろ第四防衛ライン(超高度対空ミサイル)のエリアに入るし、
その次がデルフィニウムの第三防衛ライン。だからその前に軽くウォーミングアップをさせておかないとな。
今のアイツならデルフィニウムに墜とされるような事はないと思うが念には念をいれないと。後悔なんか絶対にしたくないから」

軽はずみな判断が原因で失敗したら洒落にならない。
すでに自分がいる時点でイレギュラーなのだ。前回と同じになる保証はどこにもない。
もし仮にアキトが死ぬような事があればもう一貫の終わりである。ユリカになんて言って謝ればいいのか。
考えただけでも泣きそうになる。

「ラピスはどうする?」
「もう少ししたらルリと交代になるから」

ラピスも当り前だが、ルリと同じマシンチャイルドなので交代要員になっている。
年齢的にどうなのさ。という疑問もあるがルリも常識的には働ける年代でもないし、
セレナイトだって肉体的な年齢は十五歳前後なのだ。

「そっか、ルリちゃんはどうだ? 良くしてくれてる?」
「別にイジワルはされてない。……普通」
「ルリちゃんはそんなことしないよ。とってもいい子だから」
「ただアキトのこと色々聞いてくる。……どこで知り合ったのかとか、好きな食べ物とか」
「そうか、なんでだろうな?」
「わかんない」

(オレに対して態度が冷たいと思ってたけど、少しは興味を持ってくれてるみたいだな)

ことあるごとに微妙に自分を辱めてくる気がしていたが、興味を持ってくれている裏返しみたいなものだったのかもしれない。

(デルフィニウム戦が終わったら、食事に誘ってみるか)





■   ■   ■




「第四防衛ラインに入ったか」

アキトの部屋に向かうために通路を歩いていたセレナイト。
その途中でナデシコを揺るがす振動が発生する。軍のミサイルがディストーションフィールドに衝突爆散しているようだ。

「第三防衛ラインまであと二時間ってところか……。アキト、入るぞ。」

アキトの部屋につき、インターフォンで軽く呼びかけるが中から返事はない。

「まだ寝てるのか? ……全く、緊張感の無いやつだ」

さっきまで寝ぼけて「にゅ」とか言っていた事は、心の金庫の中に厳重に閉じ込めてセレナイトは言った。

「もうあまり時間がないんだ。入るぞ」

あっさりとドアのロックを解除して中に入っていった。

「「………………あ」」

ちょうど視線の先にアキトがいた。
あちらも突然の侵入者に唖然としている。

表情がどうやら切羽詰っているようで下半身のほうも切羽詰っているようだった。

率直に言ってアキトの下半身は生まれたままだった。
手にはさっきまで穿いていたであろうパンツを握り締めている。

どうやら何かをとても大量に出したらしい。
セレナイトの眼が良いというのもあるがその距離からでもアキトの下着が何によって汚れているか分かった。

「自分で処理するのは自由だが、もう少しスマートにした方が良いぞ? ティッシュを使うとか」

妖精のような非現実的美少女なのに発した言葉は動揺の見られない極めて現実的なモノ。

「ち、違うんです! これは勝手に! 寝ていたら勝手に! ……あっ!」

自ら墓穴を大きく掘り進めてしまったアキト。
想い人の前で夢精事実を告白した。それも勢いよく。それこそ欲望の種を吐き出した時のように。

「そ、そうか……、大変だったな。」

それしか言えなかった。



■   ■   ■



「………………」
「ま、まあアレだ。男ならあって然るべき現象なんだ。気にしなくて良いと思うぞ?(汗)」
「………………(闇)」

この世全ての絶望を背負い込んだような表情のアキト。
密かに心を寄せている美少女に自分の痴態を見られた。恥部も見られた。
相手が全く動揺しなかったのも堪える。

自分のモノはそんなに冷静でいられる代物なんだろうか?
そのせいでこちらは恥ずかしがるタイミングを逃していた。

「も、もちろん誰にも言うつもりはない。……こう見えても口は堅いんだ」

どう見えてかは知らないがセレナイトも必死だ。
数時間後には戦闘が控えているのだから。

「だからそんなに気を落とすな」
「…………」
「あの……、だから、えっと……」
「…………」

(はぁ〜、困ったな。早く訓練を始めて戦闘に備えないといけないのに。まさかこの年で夢精とは。
前はこんな事なかったのになぁ……、なんでだろう?)

まさか自分の存在が大きな原因だとは知る由も無い。
少しぐらいは自分のことを意識しているとは思うし、それを見て面白くてからかったりもするが、
夢精の原因にまでなるほど想われているとは考えてもいない。

(っていうか……、この匂い、やっぱりアレの匂いなのか?)

ほぼ消えかけているとはいえ、部屋の中に微かに篭っているザーメ、あ、いや精……白子の匂い。(それもアウトだろ)
身体能力の優れている、また色々と感覚の鋭いセレナイトには微かに漂う芳醇な男の匂いを感じ取っていた。

(はぁ……これを嗅いでいると、胸がドキドキしてくる)

生まれながらにして淫乱設計、というか愛玩設計なので男の匂いに本能的に敏感、且つ弱い。
ご主人様の匂いにメロメロになるよう設計されているのだ。

(ぁぅ……、下腹部が……熱い)

アキトはベッドの上でひざを抱えて落ち込んでいる。
その対面のテーブルの前にセレナイトは座っているのだが、微かに動悸が激しくなり瞳も潤みだす。
正座している脚を、内股をモジモジさせている。

しかし男のアレの匂いで発情してくるなど元男の意地にかけても認めたくなかった。
……が、頭の中がハッキングされてしまったかのようにそれだけを考えてしまいそうになる。
一旦スイッチが入ってしまうとどんな強靭な意志を持とうと逆らえない悲しい身体なのだ。

「どうしたんですか? 具合悪いんですか?」

どこぞのサードチルドレンのように自閉モードに入っていたアキトだったが、
セレナイトの微かな雰囲気の変化を感じ取り自閉解除する。

「あ、いや……、大丈夫だ」

お前のアレの匂いで身体が疼いてきてるんだ。って言えるはずもないよね。
顔を俯かせて声を震わせるセレナイト。

「でも顔が赤いですよ? 熱でもあるんじゃないですか?」

いつまでもイジけている訳にはいかない。目の前の女の子は師匠であり想い人でもある大切な人。
エステの操縦や格闘術などその小さな身体で信じられない超絶技能を持っているが、やはりまだ少女ゆえなのか、
どこか頼りないというか状況に対応しきれていない場合が多い。

そんな事をセレナイトに言ったら想像を絶するほどに凹むと思うが、前回、前々回の失態を見れば納得できる。
有能だが少々隙の多い愛すべき想い人が微かに苦しそうにしているのだから、アキトが心配してしまうのも無理は無い。

「ほ、本当に、大丈夫だから……」

自分の身を案じているのが分かる真摯な瞳。

(お、オレって……、自分で言うのも何だけど、こんなにカッコ良かったんだ。)

アキトのそんな凛々しい瞳に晒され、セレナイトは動悸をさらに激しくさせ、瞳を潤ませる。
昔の自分がこんなにカッコいいとは……。メグミちゃんやユリカが好きになるのも分かる気がする。
自分も、こんな自分になら抱かれてもいいかも……。

普段なら露ほども思いもしなかったことが、今は身体の火照りのせいで無理やり湧き上がって来る。
冷静になれば自分に抱かれるなど気持ち悪いの一言に尽きるのだが。(その気持ちを知ったらアキトは自殺するね)

「セレナイトさん」
「え? ……きゃ!」

完全にスイッチが入ってしまって、桃色思考に犯されそうになっていたセレナイトに冷や水が浴びせられる。
突然おでこに冷たいような生暖かいような感触が走る。アキトが手のひらを当ててきたのだ。

「やっぱり熱があるじゃないですか」

至近距離にアキトの身体がある。そのせいで益々アキトの男の香り、体液の香りが強くなる。
セレナイトは心も身体もさらに甘く痺れさせていった。

(はぁ、はぁ、オレは男に欲情する変態なんかじゃない。……この身体のせいなんだ)

「セレナイトさん? セレナイトさん?」

アキトの問いかけが心地よい。アキトが背中に回している腕から甘い刺激が発生する。
だがここで誘惑に負けてはいけない。それでは黒の王子の名がすたる。

「ばか、女の身体に気安く触るもんじゃないぞ?」

厳しい言葉だが、その声色はツンデレのそれだ。
欲望との葛藤、触ってほしい。触ってほしくない。強引に襲って欲しい。流されてはいけない。
葛藤の中での苦し紛れの言葉だった。

「す、すいません!」

自分の失態に気がつき反発する磁石のように勢い良く離れる。
こちらも頬にも火照りが発生している。

「いや、謝らなくてもいい。アキトの優しさなのは分かってるから」

離れてしまったアキトの体温に名残惜しそうな顔をする。
物憂げな美少女風でとても可愛い。

「さあ、時間があまりない。訓練を開始しよう」

立ち上がり着替えを促し、部屋を出ようとする。
ただそれと分かるぐらいに、後ろ髪を引かれ、部屋を出るのが苦痛のようだ。
何か欲望に耐えている風であった。

そしてそれからの訓練はアキトにとって至福であり地獄でもあった。
第三防衛ラインを前にしての軽いウォーミングアップのはずだったのだ。

「ほら、緊張するな。平常心だ、平常心」

それが何の因果か、またまた同調の訓練である。
もしかして自分はからかわれている? そんな考えすら頭をよぎる。

強く抱きしめられ、心なしか頬擦りまでされてるような……。
非常に役得ではあるが、また何かを言われそうで純粋にその喜びに浸っていられない。
それをいいことに、セレナイトは積極的だった。

「そう、その場合はそういう対応がいい」

シュミレーターに乗っても、常に至近距離にいる。
そしてわざわざ手を重ねたり、顔を近づけたり、誘惑お姉さんのように接近してくる。

「仕方ない、い、今はユリカさんがいないから、特別にタンデム訓練をしてやる」

むしろセレナイトさんがやりたいのでは?
そんな疑問すら浮かぶぐらいに言い訳がましくも嬉しそうな表情。
いそいそとアキトの上に腰を下ろして座る。

「あ、あの! ……今は!?」

問答無用で話を進められたが、今、膝やその周辺に乗られるのは非常にまずい。
これまでの壮絶な誘惑で、放出したエネルギーが満タンになっているのだ。
座ればそのまま串刺し。な勢いだ。

「ん……、ぁ……ば、ばか」

怒っているというよりもうっとりとしている。そんな色だった。
卑屈なぐらいにアキトは謝るが、仕方がないからいい。とあっさりと許した。
そして訓練の開始である。

なんということか、今日、セレナイトはスカートだった。
だから生の太ももやその他の感触がモロに伝わるし、セレナイトにとっても同じ。
アキトのアレがピクンと蠢くたびに身体を震わせて熱い吐息を吐く。
それがアキトを興奮させる。悪循環だ。

「ん……、ぁ、硬い」

セレナイトは何かの硬さを。アキトは何かの柔らかさを享受している。
訓練なのか、桃色耐久レースなのか、もうわけがわからない時間が続く。

「……アキト?」
「は、はい!?」

ついに師匠の怒りをかってしまったのかと慌てた返事をする。

「その調子で良いと思う。ただ射線移行の際、過剰に素早く行おうとしている節があるから、
そこはまだ落ち着いて的を絞るようにしたらいい。今はまだ正確さを高めるのが先だ」

ゆっくりと腰を上げてタンデム訓練の終了を告げた。

「あ、は、はい!」

「これからもその感じを忘れないで頑張ってくれ。……あと一回、それを意識してシュミレートしたら休憩に入っていい。
私は今からほかの用事を済ませてくるから先に失礼する」

「え? どこに行くんですか?」
「いや、エステの最終調整をしにウリバタケさんのところに行こうかと」
「あ、わかりました」
「う、うん、アキトも頑張ってくれ」
「は、はい!」

ポン! と肩を叩かれる。
気合と労いを注入されやる気マンマンのアキト。

「では失礼する」



■   ■   ■



「やった、俺は勝った! 誘惑に打ち勝ったんだ! ユリカ、お前のアキトはちゃんと綺麗なままだよ?」

通路を歩きながら、瞳を潤ませながら想いをめぐらせる。
何度誘惑に負けて大それたことをしそうになったか……。

同調の訓練のとき、あのまま押し倒されたら抵抗などできなかっただろう。
手を重ねた後、そのままその手で自分の身体を触らせたかった。
タンデムの時には下から激しく貫いてほしかったし、擦り付けてほしかった。
何度もその先をイメージし、屈してしまいそうになったが、何とか打ち勝った。

「でももう限界だ。自分でする分にはいいよな?」

じゃないとこれからの戦闘に支障すらあるかもしれない。
セレナイトは先を急いだ。

「あ、セレナイトさん、探していたんです。ちょっとお話させて頂いていいですか?」
「る、ルリちゃん、どうしたんだい?」

(うわぁ〜〜ん! なんでこのタイミングにぃ! ……ルリちゃんのばかぁ!)

一人競歩大会のように早歩きで自らの部屋に向かっていたセレナイト。
ゴール直前に道路に立つギャラリーが立ち向かい話しかけてきた。そんな感じで通路の影に控えていたルリが道を遮った。

「少しセレナイトさんとお話したいなと思いまして。……ご迷惑でしたか?」
「い、いや、そんなことないよ。……さぁ、入って」
「ありがとうございます。では失礼しますね。(ニヤリ)」



■   ■   ■



「それで話ってなにかな?」

冷静沈着なクールビューティーの態度でルリに接する。
だが中身のほうは煌々と燃える炭のように疼いている。

「はい、それよりも具合が悪そうですけど大丈夫ですか?」
「え、ああ、大丈夫。心配ないから」

脂汗にも似たようなものを浮かべ憂いすらも醸し出すような表情。
明らかにどこかに異常をかかえているような表情であった。

「それよりも話したいことっていうのを聞かせて欲しい。……時間もあんまりないから」

あと数十分後には戦闘が控えている。
自慰をする時間すら迅速に行わねばならなかったはずなのに……。
ルリと今こうして話している時間だって本当はない。

しかしルリのことを蔑ろにするわけにはいかない。

ユリカを守ると誓った。
それと同じぐらいにこの子の幸せを育み、守ろうと誓っているのだから。

「そうですね、すみません。といってもそんなに重要な用件ではないのですが」

そういって申し訳ない表情を浮かべるルリ。

「別に構わないよ。それで話したいことって?」

「あ、はい、……えっと、ですね。私、少し調べたんですけど、
セレナイトさんってセレナイトプロジェクトで生まれたマシンチャイルドですよね?」

「え……、そ、そうだけど」

「記録には十体のマシンチャイルドの内、八体が計画途中で不適合により廃棄され、残り二体のうち一体も廃棄。
そして最後の一体も自我の未発達と会長の指示により廃棄。……される予定だった」

「…………」

「でも今こうして、最後の一体であるセレナイトさんは確かな自我を持ちえてここにいる。
外部から自我を形成することはある程度可能ですが、今のセレナイトさんのようになるとは思えません。
最低限の人間としての行動や主従関係の理解などが限界でしょう」

「そ、そうなんだ……」

「エステバリスの高度な操縦技術、戦闘技術にも秀で、幾多の対人経験を持っているかのような人格を形成している。
とてもつい最近目覚めたマシンチャイルドとは思えません。…………貴方は何者なんですか?」

ついにルリはセレナイトの核心に迫る問いを発した。
ぶっちゃけ何者か知ってるくせにやる事がえげつないねぇルリちゃん。

「え、あの……オレは、セレナイトであって……、べつに怪しいものでは……。
それに何者かっていわれてもさ……、その、困るっていうか」

(何でこんなに鋭いんだルリちゃん! 今の段階でこんな事に興味を持つはずないのに)

世の中に対する冷めた態度、世間慣れしていなく、外に対する興味の喪失などを持っていたはずのルリなのに、
こうも積極的に自分のことを調べ問い詰めてくるのはおかしい。
セレナはパニクりながらも内心首をかしげる。……そろそろ勘付けよ。

「そうですね。自分が何者かなんて、そんなの答えられるわけないですよね」

ルリはあまり答えに執着していなかったのか、あっさりと引いた。

「それでもう一つの質問なんですが……あ、その前に、本当に具合大丈夫ですか?
汗を掻いてますよ? 熱でもあるんじゃ……」

ルリはそう言うとセレナイトの額に手を添える。

「ひゃ!」

そのひんやりとした小さな手に反応して可愛い声を出すセレナイト。

(ふふふ……可愛い)BY ルリ

「やっぱり熱っぽいですよ? ……ほら頬も熱いし、首筋も赤くなってます」

優しい手つきで額から頬、そして首筋に手を落としていく。

「ゃ……、る、ルリ……ちゃん」

大切な愛娘的ルリの手を振りほどく訳にもいかない。
ただそのからかいと労わりを秘める手の動きに身を委ねるしかない。

「背中にも汗を掻いてしまってます。……ホラ、心臓の鼓動も早く」

汗で少し濡れた背中を撫で、女同士の気安さからか、優しく胸の隆起を撫でながら鼓動を確認する。

「だ、大丈夫だから……、ルリ、ちゃん……そ、そんなに触ったら」

煌々としている炭に軽く息を吹きかける。それだけで炭はさらに赤く燃え盛る。
自分より一回りも小さいルリによって、いともたやすく制圧されていた。
戦闘技術に特化した者がオペレーターになす術もなくヤられているのである。

「そうですか? とても大丈夫そうには見えませんけど……。少しお休みになられたほうが」
「本当に大丈夫だから心配しないでも。……それに今、汗かいてるからあんまり近づかないでくれると」

名うての色事師のような動作でセレナに近づいてくるルリに牽制をいれる。
さすがに今の状態でルリにあれこれされるとヤバイ。自分が自分でなくなってしまう。
ルリには良き父親的な位置でいたいのだ。醜態はみられたくない。

「すみませんでした。同じマシンチャイルドとはいえ所詮は他人ですからね。調子にのってしまいました。」
「ち、違う。拒絶してるわけじゃなくて、今は汗臭いから迷惑になるし!」
「私は気にしませんけど? それにセレナイトさんの匂いとっても甘いです」
「そう言ってくれるのは嬉しいけど、今は」

「わかりました。では話を戻しますね」
「うん、ごめん、ルリちゃん」

「いえ、こちらこそ。それでですね、次に質問したいことなのですが、
不躾ですが……、セレナイトさんって、艦長のことが好きなんですか?」

「え?」

また意表をつき、鋭いところを突いてくる。

「いえ、何となくですけど、セレナイトさんが艦長を見る目は凄く優しいなぁって思ったんです。
私にはあまりわからないのですが、ああいうのって恋人を見守る目みたいな感じがして」

(そうか……、隠しているつもりでもやっぱりバレているんだ)

確かに守れなかったユリカをもう一度守ることが出来る。
永遠の愛を誓い、そして失ってしまったはずのユリカともう一度出会うことが出来た。
お互いを想い、愛し合い、結婚したのだ。恋人のような目で見てしまうのも仕方がない。

「そういう風に見えるんならそうなんだと思う。た、確かにオレは……、ユリカさんのことが好きなんだと思う」
「そう……ですか」

「うん……で、でも、そういう意味じゃない。違うんだ。……ユリカさんを守ってあげたい。幸せになってもらいたい。
それだけなんだ。俺はその手伝いが出来ればいいと思ってる」

「それが好きってことなんじゃないですか?」

「確かにそうだけど、でも俺は自分が一方的にそう思って、それを実現しようとしてるだけ、
ユリカさんに想って貰おうなんて考えてない。好きだけど対価は求めてないんだ。
ただ彼女が幸せになってもらえれば……。それだけが望みなんだ」

「…………」

「俺は……、ユリカ、さんに愛される資格なんてないし」

それに今のユリカはセレナイトのユリカではない。
セレナイトの愛したユリカはすでに死んだ。偶然ナデシコに乗ることになり紆余曲折を経て不器用なプロポーズとともに結婚した。

一緒に屋台をひいて仲良くラーメンを作っていたあの日々。
それらを共に歩んだあのユリカこそがセレナイトにとっての最愛の人だ。

このさき確かに今のアキトとそうなるかもしれないが、セレナイトにとっての最愛の人ではないのだ。
なにしろ今のユリカと結ばれてしまっては死んでしまったユリカの想いはどうするのだろう。

同じユリカだから前の彼女は忘れて今の彼女と共に生きれば良い。
そんなことには断じてなりえない。

「ではユリカさんと結ばれる可能性はないと?」
「それはもちろんだよ。彼女にはアキトがいるし」
「良し、ユリカさんが消えた。(ニヤ)……寝取りフラグキターーッ

しかも何気にイレギュラーだった今のアキトも消えた。
その事に喜び、思わず悪乗りリアクションをしてしまうルリ。

「な、なにか言った?」
「いえ別に……。ではセレナイトさんが本当に生涯を添い遂げたい想う人は今のところいない。……と?」

「添い遂げる? ……そんな事は全く考えてないし、資格もない。オレはみんなが幸せになってくれればそれで良い。
そのために、持てる力を全て注ぐだけだから。もちろんルリちゃんもだよ? ルリちゃんには特に幸せになってもらうつもりだから」

「……え?」
 
素で胸を高鳴らせてしまった。

「ルリちゃんの幸せのためにも……、頑張るつもりだからさ。遠慮なく頼ってきていいよ?」

一応自分のほうが年上だしね。
お姉さんの表情でルリを見た。身体の火照りはお祭り状態なのだが耐えている。

自らが幸せになるつもりなどない。
ただユリカやルリ、ラピスたちにこそ幸せになって欲しい。
そのために頑張るつもりだ。

「あ、ありがとうございます……」

やっぱりこの人は本質的な所では何も変わっていなかった。
あの頃の優しさを今もしっかりと持っていた。

悲しみも絶望も抱えて、復讐に身を焦がし、自分を捨てた。
それでもこの人は優しかったのだ。

あのとき抱きしめられた感触が忘れられなくて、あのときの彼の優しさと、
悲哀を含んだ最後の笑顔が忘れられなくて。

だから私は……。

「で、では私も……、私もセレナイトさんを……幸せにしてあげますね?」

ルリは目をそらしながらも何とかそれを言い切った。
一緒に屋台をひいていたときのあの笑顔を、またいつか見てみたい。
この人はきっと、手を汚した自分の幸せは望まないから。

だから私が幸せにしてあげよう。

「……え?」

予想外の言葉に一瞬虚を突かれる。

「セレナイトさんが皆さんを幸せにするのなら、私はセレナイトさんを幸せにしたいんです。……ダメでしょうか?」
「え? ……いや、そんなことないよ。うん、嬉しい。ありがとうルリちゃん」

予想外のこと、そして予想外な成長を垣間見れた。
セレナイトは心のそこからそれを喜んだ。自分が幸せになるつもりなどないし、
資格もないがルリがそう想ってくれたのは本当に嬉しかった。



■   ■   ■



「では私はこれで失礼します」

ようやく話が終わったようで部屋を辞そうとするルリ。
名残惜しそうな素振りを見せるがセレナイトは拍手喝采のように喜んだ。

酷いなソレ。

でももう限界だったの。
早く一人になって一人で遊びたいの。

「あ、そろそろ第三防衛ラインに入るみたいです。出撃準備に移らないといけないみたいですよ?」
「そ、そんな……」

セレナイトは目の前が真っ暗になって、その場に膝をつく。
その後にルリが何かを言っているが全く聞こえていなかった。

………………。
…………。
……。

それからの事はあまり憶えていない。
デルフィニウムとの戦闘を鬼気迫る迫力で圧倒的な実力でこなした。
なんかジュンがデルフィニウムに乗ってて喚いていたような気がするが、速攻で戦闘不能にした。

アキトも頑張ってくれた。
予想以上の上達振りで的確にデルフィニウムを射撃し撃墜していた。

たった二機で危なげもなく十二機のデルフィニウムを、わずか五分で戦闘不能に陥れた。
ナデシコに着艦し、エステバリスから出る。

「お疲れ様です! セレナさん!」

先に着艦していたアキトがタオルをもって出迎えてくれた。

「ああ、……ありがとう」

それを静かに受け取る。

「「「お疲れ様ですぅ! セレナイトさぁん!」」」

ホウメイガールズの面々が抱きつきながら労いの言葉をかける。

「んぅ! あ、ありがとう」

限界を迎えている身体には、その刺激ですら過激なものだ。
しかも五人に密着されるとそれだけで達しそうになる。

「あ……、なんだか今日のセレナイトさん色っぽいです!」

ホウメイガールズの1人、ミカコがうっとりするように言った。

「本当だ! ……なんかいつもより二倍二倍で可愛く見えます!」

エリもそれに続く。

「そ、そうかな……、そんなことないと思うけど」

身長が少し低いため、覆いかぶさられるように囲まれている。
先輩に初めてを捧げる女の子のような初心な感じで目をそらすセレナイト。
そうしないと見詰め合っただけで達しそうになるほどヤバイ。

だからこそ余計に可愛いのだが。

「きゃあ! それが可愛いのぉ! こんちくしょう!」

案の定、誰かが言ったようだが女の子として最後の言葉はどうかと。

「くそぉ……、おれもあんな表情させてみたいぜ。ベッドの上で」

近づけばえげつない肘を、どこかの御剣流の奥義のように全身に「ほぼ同時に」食らうので遠巻きに見て呟くウリバタケ。
彼としてはたとえこの身が破滅してもいいからセレナイトを自分のものにしたい。

そんなエロゲー的計画を立てようと画策している。

「セレナイトさん、お疲れ様です」

ガールズに囲まれているセレナイトにそっと声をかける人物。

「あ、うん。ありがとう、ルリちゃん。でもアキトが予想以上に頑張ってくれたから、そんなに疲れていないよ」
「そうですか」
 
ルリとの会話により、ガールズの包囲網は自然と解け、セレナイトとルリが対面する形となっている。 

「ところで先ほど部屋でお約束していたご褒美を差し上げていいですか?」
「え? ……ご褒美?」

そんな約束したっけ?
記憶にはなかったが出撃準備前の、あの時の会話は耳に入ってなかったから、
もしかしたら何か話をしたのかもしれない。

「はい、確かにそれをしてくれ。と約束されたのですが……、忘れてしまったんですか?」

そう言って悲しい顔をするルリ。
約束を反故されたからか、話を聞いてくれていなかったからなのか。
この子が嘘を言うはずないし、きっと急な用件なのだろう。

ご褒美とはいえ。

「あ、ごめん……。じゃあそのご褒美、してくれるかな?」

幸せにこそすれ、悲しませるつもりは全くない。
多少のわがままだって聞いてあげるつもりだ。ならばこの程度のことは許して当たり前。

「はい。(ニヤ)」

俯かせていた表情を一瞬歪めるルリ。

「ではもう少しだけしゃがんで下さい」

私の目線と同じ位置にまで。
そう付け足した。

「うん」

セレナイトは言われたとおりにルリと同じ目線にまで身体を下げる。

「ではご褒美を上げますね」
「うん、で、ご褒美って……んぅぅ!」

セレナイトの言葉はルリの唇の感触によって遮られた。

「ん! ……んふぅ! ぅぅ!」

軽いキスから一気にディープなものへ……。
静まり返った格納庫に卑猥なその音が響く。

(ど、どうしてこんなことを……、ルリちゃん。……ぁぁ、あともう少し……、
我慢してたのにぃ! ……あ、あ、く……そぉ! ……ぅぅ!)

今までお預けを食らっていた敏感ボディ。
それが限界を向かえ、ようやく解放されようとしていた。
そんな時に娘的な位置づけの女の子からの情熱的なキス。
様々な感情と火照りがない交ぜになってセレナイトはあっという間に上り詰めた。

「あ……、セレナイトさん、キスでイってる」

可愛い!
セレナイトさんのイキ顔みれた!
まぢで可愛い! 女の子同士アリなんだぁ!
やった私にもチャンスあり!?

などと至近距離でホウメイガールズに視姦されている。
それが余計セレナイを煽る。身体の痙攣がとまらない。

大人びた雰囲気のキャラ作りを心がけてきたはずなのに……、
こんな、子どもとディープキスをしてイッてしまうなんて。

ホウメイガールズの至近距離からの感嘆と嫉妬に満ちた視線、
整備員達も同じような視線を浴びせてくる。「そんな……、セレナイトさん」

そしてアキトもその光景を見て信じられない。
信じたくない。そんな表情をしていた。

自分の想い人、愛する師匠が自分以外の人間とあんなことを……。
絶望、悔しさで頭が一杯になる。

(ふふふ、アキトさん……。貴方が大好きだから、本当に愛しているから……、
だから一杯苛めて、一杯気持ちよくしてあげますね。(ニヤ))

格納庫中の視線を一身に浴びながら、
それら全員が攻略しようと思っているセレナイトの口内を陵辱する優越感に浸りながら、ルリは心中で邪悪に嗤った。



セレナイトの受難はまだまだ始まったばかりである。


   







 



 




 

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